介護事業所や障害福祉サービスの運営で避けて通れないのが「勤務形態一覧表」の作成です。指定申請のとき、加算の届出のとき、運営指導(実地指導)のとき——さまざまな場面で提出を求められるこの書類、毎回ゼロから作るのは正直しんどいですよね。
この記事では、勤務形態一覧表とは何か、なぜ必要なのか、具体的な作り方と書き方、常勤換算の計算方法、そして提出のタイミングまで、実務に沿ってわかりやすく解説します。シフト管理全般のコツは「シフト作成のコツ完全ガイド」もあわせてご覧ください。
この記事でわかること
勤務形態一覧表とは
勤務体制及び勤務形態一覧表の概要
勤務形態一覧表とは、介護サービスや障害福祉サービスを提供する事業所・施設において、従業者の勤務体制を一覧にまとめた書類です。正式には「勤務体制及び勤務形態一覧表」と呼ばれ、厚生労働省が定める様式(別紙)に基づいて作成します。
この一覧表には、事業所で働く従業者一人ひとりの職種、資格、勤務形態(常勤・非常勤)、各日の勤務時間などの情報が記載されます。行政が事業所の人員配置基準を満たしているかどうかを確認するための重要な書類であり、適切に作成・管理しておくことが求められます。
なぜ勤務形態一覧表が必要なのか
介護保険サービスや障害福祉サービスの事業所は、法令で定められた人員配置基準を満たす必要があります(参照:介護保険法(e-Gov法令検索))。たとえば、通所介護(デイサービス)であれば、利用者数に応じた介護職員の配置が義務づけられています。
勤務形態一覧表は、こうした配置基準を事業所がきちんと満たしていることを証明するためのものです。指導や監査の場で「人員が足りていない」と判断されると、介護報酬の返還や指定の取消といった重大な処分につながる可能性もあるため、正確な作成が不可欠です。
勤務形態一覧表が必要になるタイミング
勤務形態一覧表の提出が求められる主なタイミングは以下のとおりです。

指定申請・変更届の提出時
新たに介護サービスや障害福祉サービスの事業所を開設する際の指定申請では、勤務形態一覧表の提出が必須です。また、従業者の変更があった場合の変更届にも添付が求められることがあります。事業所の体制に変更が生じたときは、速やかに届出を行いましょう。
加算の届出時
特定事業所加算やサービス提供体制強化加算など、人員体制に関わる加算を算定する際にも、勤務形態一覧表の提出が必要です。加算の要件を満たす勤務体制であることを、この一覧表で証明します。
運営指導(実地指導)・監査時
行政による運営指導や監査の際には、直近の勤務形態一覧表の提示を求められます。日頃から毎月の勤務形態一覧表を作成・保管しておくことで、指導時にも慌てずに対応できます。
勤務形態一覧表の様式と記載項目
厚生労働省の様式(別紙)
勤務形態一覧表の様式は、厚生労働省が示す標準的な形式があり、多くの自治体がこれに準じたフォーマットを使用しています。ただし、自治体によって独自の様式を定めている場合もあるので、事業所が所在する自治体のホームページで最新の様式を確認してください。
一般的な様式では、横軸に1ヶ月分の日付、縦軸に従業者の情報を配置するレイアウトになっています。

主な記載項目
勤務形態一覧表に記載する主な項目は以下のとおりです。
| 記載項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業所の基本情報 | 事業所名、事業所番号、サービスの種類、対象月 |
| 従業者の情報 | 氏名、職種、資格の有無、勤務形態(常勤・非常勤の別) |
| 各日の勤務時間 | 1日ごとの勤務時間数(数値で記入) |
| 月間合計勤務時間 | 各従業者の月間合計勤務時間を記載 |
| 常勤換算数 | 合計勤務時間から算出した常勤換算値 |
| サービス提供時間との対応 | 必要な人員が配置されているかの確認情報 |
従業者の職種には、管理者・介護職員・看護職員・生活相談員などが含まれます。常勤職員か非常勤かの区分は、常勤換算の計算に直結するため正確に記入しましょう。
勤務形態一覧表の作り方|記入のポイント
作成の基本手順
勤務形態一覧表の作り方は、以下の手順で進めます。
自治体の様式を入手する
事業所が所在する都道府県・市区町村のホームページから最新の様式をダウンロードします。自治体によって独自の様式を定めている場合があるため、必ず所管自治体の最新版を確認してください。
事業所情報と従業者情報を入力する
事業所名・事業所番号・サービス種類を記載したうえで、従業者の氏名、職種、資格、常勤・非常勤の別を入力します。雇用契約書や資格証の情報をもとに正確に記載しましょう。
各日の勤務時間を入力する
対象月の勤務実績をもとに、1日ごとの勤務時間を数値で入力します。シフト表や勤怠記録と突き合わせながら記入するのが確実です。
常勤換算数を計算する
月間の合計勤務時間を算出し、常勤換算数を計算します。計算方法は次のセクションで詳しく解説します。
記入時の注意点
勤務形態一覧表の記入でよく質問が出るポイントを整理します。
兼務の従業者はどう書くか。 管理者と介護職員を兼務している場合など、複数の職種を兼ねている方は、それぞれの職種別に勤務時間を分けて記載します。同一の方が複数行に登場することになりますが、これは問題ありません。
有給休暇や研修日の扱い。 有給休暇を取得した日は、勤務時間としてカウントしません。研修参加日の扱いは自治体によって異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
パート・非常勤職員の記載。 週1〜2回の勤務であっても、事業所のサービス提供に関わる従業者は全員記載する必要があります。記載漏れがあると、人員配置基準の算定に影響が出ます。
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常勤換算の計算方法
常勤換算とは
常勤換算とは、非常勤の従業者を含めた事業所全体の人員を「常勤何人分」に換算する方法です。人員配置基準の充足状況を確認するために使われる指標で、勤務形態一覧表の作成において最も重要な計算です。

計算式
常勤換算数は、以下の計算式で求めます。
常勤換算数 = 非常勤職員の月間合計勤務時間 ÷ 常勤職員の月間所定勤務時間
たとえば、事業所の常勤の所定勤務時間が月160時間で、ある非常勤職員の月間勤務時間が80時間の場合、その方の常勤換算数は「80÷160=0.5」となります。
常勤職員はそのまま「1.0」としてカウントします。事業所全体の常勤換算合計が、配置基準で定められた人数以上であることが必要です。
計算で注意すべきこと
常勤換算の計算では、以下の点に注意してください。
「常勤の所定勤務時間」の定義が事業所ごとに異なる。 週32時間の事業所もあれば、週40時間の事業所もあります。就業規則に定められた所定労働時間を基準にしましょう。
月途中で入退職があった場合。 実際に勤務した期間分のみで計算します。月初に入職した場合と月半ばに入職した場合では、当然ながら常勤換算数が変わります。
常勤換算は小数第2位以下を切り捨て。 一般的に小数第1位まで算出し、事業所全体の合計で配置基準を満たしているかを確認します(自治体により取り扱いが異なる場合があります)。
人員配置基準との関係
配置基準を満たしているかの確認方法
勤務形態一覧表を作成したら、事業所のサービス種別ごとに定められた人員配置基準と照合します。
たとえば通所介護(デイサービス)の場合、利用定員が15人以下であれば介護職員1人以上の配置が求められます。この「1人」は常勤換算での人数であるため、勤務形態一覧表から算出した常勤換算合計と突き合わせて確認します。
配置基準はサービスの種類ごとに異なり、厚生労働省の告示や自治体の指定基準で定められています。自事業所に適用される基準を正確に把握しておくことが、適正な勤務体制の運営につながります。
| サービス種別 | 主な配置基準の例 |
|---|---|
| 通所介護(デイサービス) | 利用者15人以下:介護職員1人以上 |
| 訪問介護 | 常勤のサービス提供責任者1人以上(利用者40人ごとに1人) |
| グループホーム | 日中:利用者3人に対し介護職員1人以上 |
| 特別養護老人ホーム | 入所者3人に対し介護・看護職員1人以上 |
| 障害福祉(就労継続支援B型) | 利用者6人に対しサービス管理責任者1人以上 |
基準を下回った場合のリスク
人員配置基準を下回った状態でサービスを提供していた場合、行政指導の対象となります。場合によっては介護報酬の返還、指定の効力の停止、最悪の場合は指定取消に至る可能性もあります。
日々のシフト管理と勤務形態一覧表の作成を連動させ、配置基準を常に意識した勤務体制を維持することが重要です。
勤務形態一覧表でよくあるミスと対策
よくあるミス
勤務形態一覧表の作成で特に多いミスを整理します。
従業者の記載漏れ。 週1回だけ勤務するパートスタッフや、月の途中で入職した方の記載忘れが起こりがちです。サービス提供に関わる従業者は、勤務頻度にかかわらず全員を記載する必要があります。
兼務の記載ミス。 管理者兼務の職員について、管理者としての勤務時間とサービス従事の勤務時間を正しく分けていないケースがあります。按分の根拠を明確にしておきましょう。
常勤換算の計算ミス。 所定勤務時間の基準を間違えている、有給休暇の日を勤務時間に含めてしまっているなど、計算の前提条件のミスが多く見られます。
古い様式の使用。 自治体が様式を更新していることに気づかず、旧様式のまま提出してしまうケースもあります。提出前に所管自治体のホームページで最新の様式を確認しましょう。
対策
こうしたミスを防ぐには、以下のアプローチが有効です。
毎月の作成を習慣化する
指導や届出の直前にまとめて作るのではなく、毎月の勤務実績をもとに作成する習慣をつけましょう。慌てて作成すると漏れやミスが発生しやすくなります。
シフト表・勤怠データと連動させる
シフト表や勤怠記録と勤務形態一覧表を連動させる仕組みがあると、転記ミスを防ぎやすくなります。手入力を減らすことが正確性向上への近道です。
ダブルチェックの体制を整える
作成者と確認者を分けるダブルチェック体制を導入します。特に常勤換算の計算結果と、兼務者の勤務時間按分は重点的に確認しましょう。
様式の更新を定期的に確認する
年度初めや報酬改定のタイミングで、所管自治体の様式が更新されていないかを確認する習慣をつけましょう。
勤務形態一覧表の作成を効率化するには
手作業での作成が大変な理由
勤務形態一覧表の作成が大変なのは、「シフト表」「勤怠記録」「従業者の基本情報」という3つのデータを突き合わせて、別の書式にまとめ直す作業だからです。Excelで作成している事業所が多いですが、毎月の転記作業に1〜2時間かかるという声も珍しくありません。
特に従業者数が多い施設や、複数のサービスを併設している事業所では、兼務者の勤務時間の按分や、サービスごとの常勤換算計算など、作業量が膨大になります。こうした課題は、シフト管理の機能を持つツールを活用することで大幅に軽減できます。
シフト管理と勤務形態一覧表を連動させる
こうした課題を解決する方法のひとつが、シフト管理システムと勤務形態一覧表の作成を連動させることです。シフトデータから自動で勤務形態一覧表を生成できれば、転記作業はゼロになり、計算ミスも防げます。

1〜2時間→数分
作成時間の削減
転記作業ゼロで大幅な時短
0件
転記ミス
システム連動で人的ミスを排除
まとめ
勤務形態一覧表は、介護・障害福祉サービスの事業所にとって、人員配置基準の充足を証明するための必須書類です。指定申請、変更届、加算の届出、運営指導——あらゆる場面で提出を求められるため、日頃から正確に作成・管理しておくことが重要です。
作成のポイントは、従業者の情報を正確に記載すること、常勤換算の計算を間違えないこと、そして兼務者の勤務時間を適切に按分すること。毎月の作成を習慣化し、シフト管理との連動を図ることで、作成の負担は大きく軽減できます。
勤務形態一覧表はいつ提出する必要がありますか?
パート・非常勤の職員も記載が必要ですか?
常勤換算の計算を間違えた場合、どうなりますか?
Excelでの作成が大変です。効率化する方法はありますか?
勤務形態一覧表の様式はどこで入手できますか?
勤務形態一覧表の作成、毎月の転記作業に疲れていませんか?
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※ 本記事の内容は2026年2月時点の情報に基づいています。人員配置基準や様式は法改正・自治体の方針により変更される場合があります。最新情報は厚生労働省および所管自治体のホームページをご確認ください。 (参照:介護保険法(e-Gov法令検索)、介護サービス情報公表システム(厚生労働省))

